甲状腺機能低下症

症例の概要

ジャーマンシェパード 避妊雌 8歳11ヶ月
他院でマラセチア性皮膚炎の治療をしているが良くならない。子宮蓄膿症の手術をした後からあまり動かなくなったとの事。以前と比較し体重が増加(37kg→45kg)、顔面〜四肢にかけての脱毛、皮膚の苔癬化、悪臭を認め、悲観的顔貌を認める。 血液化学検査にて非再生性貧血と、総コレステロールの上昇を認め、各種所見から甲状腺機能低下症が疑われたためホルモン検査を実施。T4<0.5μg/dlと低下、TSH 0.60ng/mlと上昇を認めたため甲状腺機能低下症と診断。

甲状腺機能低下症について

甲状腺ホルモンの欠乏に起因する疾患で、一次性(原発性、甲状腺性)、二次性(下垂体性)、三次性(視床下部性)とがありますが、犬の本症の95%は一次性と言われています。一次性はさらにリンパ球性甲状腺炎と、特発性甲状腺萎縮の二つに分類され、前者は自己免疫反応による甲状腺の破壊が、後者は原因不明だがリンパ球性甲状腺炎の末期である可能性が示唆されています。

甲状腺ホルモン欠乏による症状として、脱毛、ラットテイル、色素沈着、角化異常、脂漏症、再発性膿皮症などの皮膚症状、無気力や元気消失、低体温、体重増加、徐脈など様々な症状がみられます。

治療内容

不足している甲状腺ホルモンの補充療法を行います。レボチロキシンナトリウム600μg/BIDで処方。加療後、発毛し皮膚の悪臭も消失。
甲状腺ホルモン値も安定し、活動性も良好になりました。

治療前
  • 院長の実家の犬です。