FIP(猫伝染性腹膜炎)とは?

FIPとは、猫コロナウイルス(FCoV)の強毒型である猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)感染によって起こる全身性の炎症性疾患です。
2歳以下での発症が多いとされていますが、いかなる年齢でも発症します。
雑種よりも純血種での発症が多く、多頭飼育環境では発症リスクが上昇します。
発症するとほぼ致死率100%と言われていましたが、近年ではFIPに有効な治療薬が開発され、使用されつつあります。

病態

腹水や胸水が溜まるウェットタイプ(滲出型)と、様々な臓器に肉芽腫を形成するドライタイプ(非滲出型)に大別されます。両者が混在するケースも存在します。症状はさまざまで、体重減少、食欲不振、発熱、嘔吐、下痢、黄疸(黄色の皮膚や粘膜)、貧血、神経症状などがみられることがあります。慢性的な症状を示すこともあります。

ウェットタイプでは腹膜炎や胸膜炎を特徴とし、体液が腹腔内または胸腔内にたまり(腹水や胸水)、それにより腹部の腫脹や呼吸困難などを引き起こします。急速に進行することがあるため、早急に治療介入する必要があります。

ドライタイプでは肉芽腫病変が腫瘍臓器やリンパ節などに発生します。眼や中枢神経系に病変を引き起こしたり、ウェットタイプに移行すると予後はさらに悪くなります。

診断

単一の検査でFIPと診断することは出来ません。
臨床症状、血液検査、X線検査、エコー検査、PCR検査、滲出液の検査などを行い、総合的に診断します。

  • 病理組織検査を行えば単一で診断可能ですが、現実的ではありません。
MUTIAN、CFNによる治療

今まではステロイド、インターフェロン、免疫抑制剤、抗炎症剤などが使用されていましたが、どれも治療効果に乏しいものばかりでした。

近年、GS441524という薬剤が中国で開発され、世界で使用されるようになってきています。FIPウイルスのRNA合成を阻害することで、FIPウイルスを死滅させる薬剤です。現在主に使用されている薬はGS441524を成分としたMUTIAN(ムティアン)とCFN(CHUANFUNING)になります。

他にも様々なGS製剤があるようですが、有効成分の実際の含有量には疑問があるようです。入手の確実性から、当院ではCFNを取り扱い、治療を行っています。

日本では未承認の薬剤で、費用も高額になりますが、治療成績は良好です。改善率および再発率は以下の通りになります。

改善率

  • MUTIAN:93%(約400症例)
  • CFN:99%(約300症例)
  • 他のGS製剤:80%台(約150症例)

再発率

  • MUTIAN:0.05%(約400症例)
  • CFN:0%(約300症例)
  • 他のGS製剤:8~33%(約100症例)

当院ではFIPで苦しむ猫ちゃんを1匹でも多く助けられるよう、積極的に治療を受け入れています。
お電話または下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。治療内容や費用についてご説明させていただきます。

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