(非定型)アジソン病

症例の概要

柴犬 3歳4ヶ月
1週間前から水を飲む量が多い。痩せてきている。血液検査にてPCVの低下(31%、非再生性)、ALT/ALPの上昇、肝臓細胞診にて肝細胞の水腫様変性、尿検査にて尿比重の低下、腹部エコー検査にて萎縮した両副腎を認め、ACTH刺激試験を実施。コルチゾールはPre/Postともに1.0μg/dL以下であった。本症例は電解質異常を認めなかったため、非定型アジソン病と診断。

アジソン病(副腎皮質機能低下症)について

副腎皮質から分泌されるホルモンが不足することによって起こる疾患です。

犬では特発性の副腎萎縮によるアジソン病が多く、多くの症例では球状帯と束状帯が破壊されるため、ミネラルコルチコイドとグルココルチコイドの両方が不足する場合が多いとされています。

しかしながら本症例のようにグルココルチコイドのみが不足し、ミネラルコルチコイドの分泌が保たれている(血中電解質の異常が現れない)、非定型アジソン病も少なからず存在します。

治療内容

ホルモン補充療法を行います。本症例はグルココルチコイドのみの不足によるため、プレドニゾロン0.25mg/kg/SIDで処方。
体重は徐々に増加し、飲水量も落ち着いてきました。