食道穿孔・食道内異物

症例の概要

チワワ 避妊雄 10歳11ヶ月
3日前から呼吸が荒く食欲元気がない。2日前に嘔吐し、他院にて対症療法するも改善せず。身体検査にて高体温(40.1℃)、血液検査にてCRP:OVER、X線検査にて胸部気管の腹側変位を認めたため麻酔下でのCT撮影、内視鏡検査を実施。CT検査にて食道内に空気を含む板状のX線低吸収の陰影、食道内内視鏡検査にて食道内に固形物を認めた。

食道穿孔について

定義は食道の全層欠損により食道内容物が縦隔や胸腔内に漏れ出ることとされています。

原因は医原性(人ではこれが最も多いとされています、食道狭窄のバルーン拡張時など)、外傷性、異物(鋭利な異物、大きな異物による食道壁の圧迫壊死)、食道疾患(食道炎、腫瘍)、特発性に分けられます。

治療内容/経過

内視鏡にて異物を胃内に押し込んだが、食道壁の壊死/穿孔を認めており、食道内よりガスが胸腔内に漏出、気胸を呈し死亡。
後にオーナーに聴取したところ、異物はオーナーが与えた鮭の切り身であった。

考察

食道穿孔/気胸を呈している場合(呈する恐れがある場合)、適切に処置を行ったとしても予後は要注意〜不良。数日以上の経過である場合は圧迫壊死が起こり得ていることを含め、特に十分な説明をしておく必要がある。

食道内異物が疑われる場合は速やかな診断と治療が必要であり、診断治療の遅れが時に致命的となる。