気管虚脱・頸部気管矯正手術
症例の概要
犬
ヨークシャテリア
去勢雄
4歳11ヶ月
呼吸が苦しそう。1年前に他院で軟口蓋の手術をしたが、その後半年くらいでまた苦しそう。院内ではかすれた様な呼吸や、ガーガーといったガチョウ様の呼吸を認める。X線検査にて右第10肋骨骨折、右横隔膜麻痺、頸部気管の狭窄を認めた。気管内視鏡検査にて胸郭入口付近で気管が扁平化し75%以上内腔が減少、頸部気管虚脱グレードⅣと診断。
気管虚脱について
気管を構成する膜性壁の下垂、気管軟骨の脆弱化により気管が扁平化し、ガチョウ鳴き様の発咳〜呼吸困難を呈する疾患です。正確な発生要因は未だ解明されていませんが、遺伝的要素、飼育環境、外的圧迫などの様々な誘発要因によって起こるとされています。
小型犬に多くみられ、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、マルチーズ、チワワなどで好発します。
治療内容
内科治療には反応せず。
この症例に関しては肥満などの外的要因も考えづらく、頸部気管矯正手術を提案し実施しました。PLLP装着術という手術です。
PLLP(Parallel Loop Line Prostheses)は光ファイバー用の線状アクリル材で、熱可逆性の性質を利用して整形作成し、それを気管外から装着固定します。
イメージとしては気管よりも少し大きいバネのようなものを外側から縫い付けて気管が虚脱しないようにする感じです。
術後は呼吸困難もなく、問題なく生活できる様になりました。