壊死性脳炎

症例の概要

チワワ 9歳3ヶ月
1時間おきに30秒くらいの発作がある、ということで来院。初発の発作は1週間前。他院で薬を処方されているが良くならない。院内では左前後肢の不全麻痺、右旋回を認めます。MRI検査を実施すると、右前頭葉に壊死・脱落を疑う所見、右大脳全域には大脳皮質を中心に炎症、浮腫を疑う所見が認められました。

壊死性脳炎について

感染症に関連しない、脳実質の壊死を伴う脳炎です。病理学的には肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)、壊死性髄膜脳炎(NME、パグ脳炎)、壊死性白質脳炎(NLE)に分類されますが、複数の病型を呈する場合もあります。いずれも免疫学的機序によって発症すると考えられています。

治療内容

脳炎の治療としてシトシンアラビノシド+プレドニゾロン併用療法(途中からシトシンアラビノシド単剤)、痙攣発作に対してゾニサミド(途中からフェノバール+臭化カリウム)による治療を行いました。治療後は大きな発作は起こらなくなり、ある程度のQOLを維持することができました。右に旋回する症状は以前よりは軽くなったものの残存しています。