FIP(猫伝染性腹膜炎)

症例の概要

ロシアンブルー 0歳10ヶ月
避妊手術のために来院。麻酔前に各種検査を行うとGLOBの顕著な上昇(9.0g/dl)、腹腔内リンパ節の腫脹(1.2cm大)が見られ、追加検査を実施。猫コロナウイルス抗体価の顕著な上昇を認め(6400倍)、各種検査結果を踏まえFIPドライタイプと診断されました。避妊手術は中止です。

FIP(猫伝染性腹膜炎)について

FIP(猫伝染性腹膜炎)とは猫コロナウイルスに起因する全身性疾患で、一度発症した猫の致死率は極めて高いと言われています。
腹水や胸水の貯留を特徴とするウェットタイプと、肉芽腫性病変が主要臓器や腸間膜リンパ節などに発生するドライタイプの2つの型があります。

治療内容

少し前までは不治の病として有効な治療がありませんでしたが、近年、新薬が開発され、その効果が証明されつつあります。
MUTIAN(ムティアン)というお薬です。
簡単に言うと、RNAの合成を阻害し、FIPウイルスを死滅させるというものです。

この子は当初症状もなく、ウェットタイプに移行しないようインターキャットを投薬しながら注意深く経過を観察していました。
しかし診断から約4ヶ月後、食欲活性が低下、重度の貧血(PCV8.8%)となってしまいました。相談の上、輸血をして当初より検討していたMUTIAN(ムティアン)の投薬を開始。

3ヶ月間服用し、すっかり元気になりました。今のところ再発もありません。

  • 現在、MUTIAN(ムティアン)が手に入りにくい状況となっておりますが、同等の治療薬をご用意しています。お困りの方はご相談ください。